学校に来られた方の話をしてくれることがあります。その時に「男の人?女の人?」「眼鏡かけてた?かけてない?」は答えられます。でも「若い人?歳いってる?」は答えられないのです。普段よく使う表現が使えないと地味に困ることが多いです。
発達障害児は曖昧なことが苦手
「なんとなく・・・」ということが苦手です。よく日本人は言葉を濁して「あとは察して」となりますが、発達障害児には理解ができません。場数をふんだり、周囲に適切な友達がいて、常日頃から説明を受けていた人はわかるかもしれませんが、難しいことです。
どんな雰囲気だった?
場所だったり人だったり、学校から校外学習に行ったり、講演会に誰かがこられたりしたときに「どんな場所だった?」「どんな人だった?」と聞くことがありますが、いつも「あ、聞き方間違えた!」となります。
「質問者の聞きたいことを察して答えて」という思いがこめられた質問に答えることは難しいのです。質問とは「知りたいことをイエス・ノーではっきり答えること」くらいの心構えが必要かもしれません。
つまり、曖昧に「どんな場所?」と聞くのではなく、
「運動場はあった?」
「バスは何台で行ったの?」
「説明してくれたのは男の人?女の人?」
「どこで話を聞いたの?」
というような、はっきりとした答えがある質問が有効です。うまく答えられない例は、
「どれくらい広かった?」
「どんな人が話をしたの?」
「どんなところに行ったの?」
「どんな感じだった?」
これらの質問には答えないで聞こえないふりをするか、なにか余計なことを口走る可能性が高いです。特に、低学年の場合は答えやすい質問をすることでコミュニケーションが育まれるので、意地悪に聞こえる質問はできるだけ控えましょう。親はつい聞きたくなってしまいますが、我慢です。
何歳くらいだった?
大人でも「何才くらいに見える?」という禁断の質問を受けることがあります。これって、暗黙の了解で「少し若めに答える」ってのがありますよね(笑)でも、あまり若いと嫌味だしでも実際何才くらいかわからんし「困ったー」経験をお持ちのかたは多いはず。そして、失敗して嫌な空気になったことも・・・。こんな時は、思いっきり外した歳をいって笑いをとるのが気楽かも。
発達障害児にとって、「何才くらいに見える?」はとてもとても難関です。それよりもハードルが低そうな「おじいちゃんみたいな感じ?」といっても、こちらからすると「おじいちゃんに見える感じの年齢?」ってことですが、本人にとって「おじいちゃん」は自分のおじいちゃんだけであって、見ず知らずの人が「おじいちゃん」ではないのです。なので、「おじいちゃん、おばあちゃん」という言葉は使えません。
また、「おじさん、おばさん」「お父さん、お母さん」も同様で、「誰かの」ものになるので、代名詞として使えません。「お父さん、お母さん」の場合は「保護者の人」という言葉が使えるのですが・・・。おっちゃん、おばちゃんは代名詞になるようです。
また、「お年寄り」ということばも理解が難しく、私も子供を納得させる説明ができないので使っていません。
お年寄りって、何才からですか?
この質問に答えられないので、「お年寄り」という言葉が使いにくいのです。65歳以上で高齢者の区切りをつけてもよさげですが、「お年寄り」と呼ばれて嫌な気分になる方もおられるようなので・・・。
私の祖母は90歳を超えています。でも、「年寄り」と言われることが大嫌いです。
ニュースで80歳代の方が事故などを起こしていたら「年寄りなのにうろうろするからだ」と言ってます。他人は80歳代でも年寄りですが、自分は年寄りではないのです。
こういった事例が身近にあるので、曖昧なことは難しいのです。
はっきり言うので一緒にいると肩身がせまくなることも
オブラートに包みたいときや、ここで声をだしていうのはちょっと・・・と言うことってよくありますよね。子供たちは、そんなことにも関わらず正義感をもって大きな声ではっきりいいます。ダメなことでもないし間違っていることでもないんだけれど、なんだかなぁということありますよね。
歩道に座り込んでいるカップルの中学生をみて一言
「お母さん、なんで男の人と女の人が道に座ってるの?歩く人が邪魔やんな。何をしてるんやろうな」
と、真剣に質問。それも、発見してから少しして話し始めるので、ちょうど中学生の横を通るくらいになります。
母「疲れたから座ってるんかな」
その中学生は、立ち上がって去って行きました。
ニット帽をかぶって髪が見えなかったおばちゃんをみて一言
「お母さん、あのおっちゃん何してるんかなぁ」
母「あれは、おばちゃんだよ・・・。」
寒くなってくると、ニット帽やマフラーモコモコとたくさん着込むので性別の判断がつかなくなるようです。女性を男性と間違えるなんて・・・。
道を歩いている人をみて一言
「お母さん、あの人何歳?」
母「う〜ん。わからん」
子「だいたい、43歳くらいかな」
母「・・・」
絶対に43歳くらいではなさそうでしたが(高齢に見える方だったので)、人の年齢を大きな声でいうのはやめてほしいです。
園の帰り道では「僕のお母さんは○歳!」といろんな人に教えていましたが(涙)
お父さんがゲームで負けたときに一言
「お父さん弱い」
相手がとても強かったらしく(ネットゲームです)、負けていました。で、「お父さんは弱い」を連発するので、お父さんはどんどん機嫌が悪くなりました。
「負ける=弱い」事実はあるかもしれませんが、事実だとしても「何度も言うのは相手を傷つけることになる」ということを覚えて欲しいこの頃です。
まとめ
数え上げればきりがない、揚げ足取りというかなんというか・・・。相手のことを考えて言葉を言うようにして欲しいこの頃です。ただ、発達障害児には「相手のことを考える」ということがとても苦手。相手の気持ちは見えませんから・・・。
見えないものを想像するのが苦手なので、こういったトラブルがこれからどんどん増えていくでしょう。致命傷になる前に、少しずつでもSSTなどで学んでいきたいと思います。
この本は、事例をあげて、こう言った子にはこんなトレーニングがいいですよ、と教えてくれる本です。発達障害の特性だけが書いてあるのではなくて、実際の対応方法も書いてあるのでよかったです。 「ほめワード10」や「たすけてワード10」など、短い言葉で使える事例ものっています。 気になる方は是非どうぞ。